大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和62(あ)246 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人中道武美、同福本基次、同岡惠一郎の上告趣意のうち、憲法三六条、三一

条違反をいう点は、死刑がその執行方法を含め憲法に違反しないことは当裁判所の

判例(昭和二二年(れ)第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決・刑集二巻三号

一九一頁、昭和二六年(れ)第二五一八号同三〇年四月六日大法廷判決・刑集九巻

四号六六三頁)とするところであるから、理由がない。その余は、事実誤認、量刑

不当の主張であって、適法な上告理由に当たらない。

また、記録を精査しても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない(

本件は、賭博ゲームに凝り、多額の借金の返済に窮した被告人が、勤務先(兵庫県

赤穂市所在)の同僚Aの妻Bを殺害して、Aの健康保険被保険者証(保険証)を強

取し、これを利用して金融業者から金員をだまし取ることを企て、Bに、Aが自殺

を図ったが未遂となり今病院にいる、保険証が必要である旨巧みにうそを言ってお

びき出し、Aの妻であることを確認した上、自己の運転する自動車の助手席に乗せ

て走行するうち、人家のない場所で停車し、あらかじめ用意した縄跳び用のひもで

同女を絞殺して、保険証や木製印等を強取した後、同女が連れていた当時四歳の長

男Cを橋の上から約二三メートル下の川に投げ込んで溺死させ、次いで、警察官を

装い、Aに、Bが電車に飛び込み自殺を図ったが助けられて山口県の萩警察署で保

護しているなどとうその電話をかけて、同人をはるばる山口県下まで赴かせておい

た上、その留守の間に、右保険証及び木製印を利用して金融業者からAの名義で現

金一〇〇万円を借り入れてだまし取るなどし、さらに自動車のトランクに押し込め

ておいたBの死体を海中に投棄した事案である。その犯行の罪質、動機、計画性、

態様、殊に殺害の手段方法の残忍性、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響

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等に照らせば、被告人の恵まれない生い立ち及び前科がないこと等を考慮しても、

被告人の罪責はまことに重大であって、原判決が維持した第一審判決の死刑の科刑

は、当裁判所もこれを是認せざるを得ない。)。

よって、同法四一四条、三九六条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとお

り判決する。

検察官米澤慶治、同水上寛治、同木藤繁夫 公判出席

平成四年九月二九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 貞 家 克 己

裁判官 坂 上 壽 夫

裁判官 園 部 逸 夫

裁判官 佐 藤 庄 市 郎

裁判官 可 部 恒 雄

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